脳性麻痺は馬に乗ると良い??

皆さんこんにちは!

今年度入職しました、理学療法士の三浦まどかと申します。前回の新入職員ページで自己紹介文が載っているので、是非ご覧ください。

 

今回の内容は脳性麻痺と乗馬の関連性についてです。

私自身の患者様の中に、成人の脳性麻痺の方がいらっしゃいます。幼少期の習い事について伺い、乗馬をしていたとお話しされていました。動物介在療法としてアニマルセラピーは心理療法や盲導犬、介助犬を含む様々な分野で必要とされています。その中の一つとして乗馬療法が存在することは、皆様ご存知でしたか?その治療法と効果についてお話しします。

 

1968年の厚生省脳性麻痺研究班会議の定義では、”受胎から新生児期(生後4週間以内)までの間に生じた脳の非進行性病変にもとづく、永続的なしかし変化しうる運動および姿勢の異常である。その症状は満2歳までに発現する。進行性疾患や一過性運動障害または将来正常化するであろうと思われる発達遅延は除外する”と定められています。

日本での頻度は約1000人あたり1~2人に起こるとされています。出生後、月齢に沿った運動発達の遅れが生じ、手足の動きや緊張の異常が出現します。

 

脳性麻痺患者が乗馬療法を実施することにより、姿勢制御や姿勢バランスを改善し、体幹・股関節の筋肉の対称性の改善効果があることから勧められており、また粗大運動の改善に有効である可能性があると推奨されています。

しかし、乗馬療法の効果を評価した研究ではどれもサンプルが少なく、エビデンスに限界があると言われています。

実際、乗馬療法は交感神経活動を抑制することや、乗馬の揺れによりリラックス効果や睡眠効果があると報告されています。馬によって作られるリズミカルな動きにより、骨盤の動きが健常児の歩行時の骨盤の動きと類似するとされ、姿勢・平衡反応・筋肉の同時収縮や関節安定性・体重移動が改善し、ダイナミックな姿勢の安定性などが改善する説も挙げられています。

 

乗馬療法は脳性麻痺の患者様だけでなく、自閉スペクトラム症や発達障害などの方に対して、ソーシャルスキルトレーニングを取り入れた教育プログラムもあると報告されています。

 

当院ではアニマルセラピーは実施していませんが、動物を介しての治療法は様々あるので、ご興味のある方は是非調べてみてください!

 

引用文献

脳性麻痺リハビリテーション ガイドライン第2版

監修 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 編集 診療ガイドライン委員会

外来リハビリ 理学療法士 三浦まどか