訪問リハビリテーションの実際 ~ 転倒予防 ~
『転倒予防を考える』
日々、地域の患者様とリハビリに励んでいる、私たち療法士ですが、
患者さまより『昨日、転んでしまって…』というお話を聞くことが度々あります。
療法士の立場として、非常にドキッとする話題なのですが、地域生活を送る患者様がどのような原因で転倒してしまっているのか、どうすれば防ぐことができるのかを考えていきたいと思います。
ある調査*によると、転倒頻度は平均年齢70歳以上の男性より女性に多く、変形性膝関節症や関節リウマチなど を有する高齢者では年間40%以上が転倒するといわれていることや、運動器の衰えによって移動能力低下を呈した状態であるロコモティブシンドロームの高齢者でも転倒頻度は年間40%と非常に転倒しやすいことが報告されています。また、意外なことに転倒場所は屋外よりも室内に多く、自宅内の居室が多いと報告されています。
それでは、どのように転倒を防いでいけば良いのでしょうか。
リハビリでは主に2つの介入により転倒予防につなげていきます。
①運動療法
皆さんがリハビリと聞くとまずイメージされるのが運動療法なのではないでしょうか。
運動療法を実施し筋力やバランスの改善、心身機能の向上を目指します。
運動メニュー例
2.環境整備
主に訪問リハビリではご自宅でのリハビリとなるため、早期に環境整備を実施します。
端のめくれたカーペットや家電のコードは転倒の原因となります。
また長年使用してすり減った靴底や、杖の先のゴムも定期的に点検することが大切です。
転倒は個人の因子だけでなく様々な因子が組み合わさって起こるため、完全になくすことは出来ません。
しかしながら、お一人お一人のお身体の状況や環境にあわせた介入を行うことで軽減していくことは可能です。
これからも、ご利用者様のお身体の状況や生活に合わせたリハビリを提供していきたいと思います。
訪問リハビリ
作業療法士 河野 李歌子
*)Hagino H:Epidemiology and Evidence of Pre-vention for Falls.Ipn/Rehabil Afed,55:898-904,2018./松本浩実ほか:ロコモティブシンドロームの重症度と転倒,低骨密度及びサルコペニアの関連性について、理学療法学,43:38-46,2016.