椎間板ヘルニアとは?
今回はみなさまも良く耳にすることがある「椎間板ヘルニア」についてお話をさせていただきます。
そもそも椎間板とはなんなのか?
まずは椎間板についてお話をしていきましょう。
椎間板とは・・・
私達人間の背骨(脊柱)は椎骨と椎骨が連なって形成されており、その椎体と椎体の間にあるクッションの役割をするのが椎間板(正しくは椎間円板)と呼ばれるものです。
椎間板は中心に緩衝材として働くゼラチン性の「髄核」とそれを覆い囲むよう張力抵抗性の作用をもつ「線維輪」からなります。
私たちは日々の暮らしの中で様々な動作を行いますが、その動作によって脊柱に加わる圧力は椎間板がクッションの役割をして分散してくれるのですが、この際にゼリー状の髄核が移動するのです。
椎間板ヘルニアとは・・・
そもそもヘルニア(hernia)とは何なのか?ヘルニアとは臓器や組織の一部またはすべてが正常な位置から突き出た状態のことを指します。なので、椎間板ヘルニアとは先程説明した椎間板の髄核が移動することによって、周りの線維輪を押して突き出た状態のことを言うのです。
椎間板ヘルニアの症状
腰痛、臀部痛、下肢の痛みと痺れ
ヘルニアの部位によっては下肢の筋力低下や感覚障害などの神経症状も見られることがあります。
椎間板ヘルニアの分類・・・
椎間板ヘルニアにはグレードがあり、椎間板ヘルニアと診断されても症状は一概に同じではありません。
1.Protrusion(膨隆)
髄核が突出して線維輪が膨隆している状態
- subligamentous extrusion(脱出)
髄核が線維輪を破っているもの(後縦靭帯を穿破していないもの)
- transligamentous extrusion(穿破脱出)
髄核が線維輪を破っており、後縦靭帯を穿破しているもの
- sequestration(遊離脱出)
脱出したヘルニアが中央 椎間板(母髄核)と完全に遊離して脊柱管内の他の部 位に移動したものである
椎間板ヘルニアの診断・・・
レントゲンやMRIなどの画像検査をもとに医師が診断を致します。
ただ、椎間板ヘルニアの画像所見が認められる場合でも、「無症状」の方もいらっしゃいます。日本整形外科学会のホームページにも記載がありますが、無症状の方に関しては多くの場合問題はありません。
椎間板ヘルニアの治療・・・
椎間板ヘルニアの治療に関しては保存療法や手術療法などのエビデンスが高く認められています。
腰椎椎間板ヘルニア2021年ガイドラインでは運動療法での効果はまだエビデンスの強さとしてD判定となっており、今後の腰痛治療に対して運動器のリハビリが有効であることを証明させていくような研究が必要であります。
外来部門責任者
池田純平