訪問リハビリテーションの実際 ~制度について~

今週は訪問リハビリテーション(以下:訪問リハビリ)の対象となる方や、疾病等について紹介していきます。

クリニックからの訪問リハビリは、施設や病院からの退所・退院後の日常生活がまだ不安な方、リハビリのために病院への通院が困難な方などが対象となります。

 

訪問リハビリを利用するには、介護保険、または医療保険を用いる必要があります。

〇介護保険を利用する場合

以下の2つの条件に該当する方のみ訪問リハビリを受けることができます。

1)介護保険証の認定を受けられている方

介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている全ての方が対象となります。

65歳以上(第1被保険者)の方は、要介護状態になった原因を問わず、介護保険サービスを受けることができます

45~64歳(第2被保険者)の方は、厚生労働省で定められた「16種類の特定疾患」によって要介護状態になった場合に限り、介護

保険サービスを受けることが出来ます。

 

「16種類の特定疾患」

1   末期がん

2   関節リウマチ

3   筋萎縮性側索硬化症

4   後縦靱帯骨化症

5   骨折を伴う骨粗鬆症

6   初老期における認知症

7   進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病

8   脊髄小脳変性症

9   脊柱管狭窄症

10 早老症

11 多系統萎縮症

12 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症

13 脳血管疾患

14 閉塞性動脈硬化症

15 慢性閉塞性肺疾患

16 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 

2)かかりつけ医から「訪問リハビリテーションが必要」だと認められた方

訪問リハビリを行なうには医師の指示が必要となります。定期的に医療機関への受診を行い、病状の内容や家庭内の環境から診て、医師が必要だと診断した場合に、訪問リハビリを受けることができます

 

〇医療保険を利用する場合

医師が訪問リハビリを必要だと判断した場合、訪問リハビリの適用となります。

医療保険の場合は、1か月に1度医療機関への受診が必要となり、医師が病状を確認しながらリハビリの指示を出します。

0~64歳の方、65歳以上でまだ要介護認定を受けていない方、医療保険を利用することができます。

※原則として介護保険と医療保険の併用は認められておらず、要介護認定を受けている方は介護保険が優先となります。

 

 

 

当院の訪問リハビリでは、小児から高齢者まで幅広い年齢層、様々な疾患の方に対応しています。

具体的には・・・

・脳卒中(脳梗塞・脳出血等)やくも膜下出血などの脳血管疾患

・骨折・切断や、変形性膝関節症など整形疾患

・パーキンソン病、ALS等の神経難病

・心不全、心筋梗塞、大動脈解離などの心疾患

・肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症などの肺や呼吸器疾患

・脊髄損傷

・腎臓病・透析などの循環器疾患

・癌、ターミナルケア、体重が減少し体力が落ちてしまわれた方

・寝たきり、廃用症候群

・ヘルニア・脊椎圧迫骨折などの脊椎疾患

・関節リウマチなどの自己免疫疾患

・小児疾患

・頸が座らない、お座りや歩行の獲得が遅いと言った発達の遅れがある方

など、上記は一部ですが、様々な疾患の方を対象としています。

 

訪問リハビリを活用することで、実際の生活環境に沿った訓練を行いながら、生活の質の向上、ご家族の介護負担の軽減も期待できます。

対象かもしれないと思った方は、一度当院医師や担当のケアマネジャーに相談してみてください。

 

 

訪問リハビリ

理学療法士 松浦 弘行